2003年3月
   No. 02-06

 
緊急安全性情報
 

   ガチフロ錠100mg投与による低血糖及び高血糖について

  2002年6月の発売以降、これまでに本剤との関連性が否定できない重篤な低血糖症例が75例、高血糖症例が14例報告されています(推定使用患者数:420万人、2003年2月末現在)。低血糖、高血糖を発現する多くの症例が糖尿病の患者であったことから2002年10月「使用上の注意」の「慎重投与」に「糖尿病の患者」を記載し、注意喚起をしてまいりました。 しかし、その後も糖尿病の患者及び糖尿病以外の患者においても低血糖、高血糖の症例が集積されたことを踏まえ、この度「禁忌」、「使用上の注意」を改訂するとともに「警告」を追加し、さらに注意喚起を図ることと致しました。  本剤の使用に際しましては、特に下記の点に十分注意くださいますようお願い申し上げます。
 なお、本剤投与後に低血糖、高血糖が認められた場合には、弊社医薬情報担当者までご連絡くださいますよう、お願い申し上げます.

●低血糖症例の紹介●
●高血糖症例の紹介●
●添付文書改訂説明●
●お問い合わせ先● 

1.糖尿病の患者には投与しないこと。
重篤な低血糖、高血糖があらわれることがありますので、糖尿病の患者には投与しないでください。
2.糖尿病の既往の有無を十分に確認すること
糖尿病の患者において、本剤の服用により重篤な低血糖、高血糖があらわれることがありますので、糖尿病の既往の有無について十分に確認してください。
3.糖尿病以外の患者においても低血糖、高血糖が報告されているので、次の点を患者に十分説明すること
 (1)低血糖症状(脱力感、空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)があらわれた場合は、本剤の服用を中止し、砂糖の入ったジュース、キャンディ等を摂取するとともに、速やかに医師の診察を受けてください。

(2)高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)が現れた場合は、本剤の服用を中止し、速やかに医師の診察を受けてください。


「警告j、「禁忌」.及び「使用上の注意」を裏面のとおり改訂致しましたので、ご連絡申し上げます。

お問い合わせ先: 杏林製薬株式会社  学術部 学術情報課  TEL:03−3293−3412

    大日本製薬株式会社   医薬情報部      TEL:06-6203−5335



【症例紹介 : 低血糖】


80歳代

尿路感染症
褥瘡

〔糖尿病、両膝関節症、腰痛症、
循環改善、胃炎、
めまい、便秘〕

400mg
3日

2〜3年前より糖尿病にて近医通院。
グリベンクラミド(2.5) 4T、ボグリボース(0.2) 3T で糖尿病はコントロール良好であった。

投与15日前 腰痛のため、当院入院。
         グリベンクラミド(2.5) 4T、ボグリボース(0.2) 3T を開始した。

投与3日前  14時血糖: 145mg/dL。  
投与開始日 尿培養、褥瘡培養より、P.aeruginosa を検出。
        夕方より、本剤400mg 分2 で投与を開始した。
        尿路感染症と診断し本剤(4錠分2)を投与する。
 
投与2日目 朝食:5割摂取。  昼食:3割摂取
        定期採血で 14時血糖 54mg/dL と低下。50%TZ(ブドウ糖)ivするが回復せず、
        電解質輸液を持続点滴し、その点滴内にも50%TZを入れるが低血糖持続。
        グリベンクラミド、ボグリボースは昼で中止。
        16時 血糖 45mg/dL → 50%TZ 1A iv。
        16時 血糖 45mg/dL → 50%TZ 1A iv。電解質輸液内へ50%TZ 2A追加。

投与3日目 朝本剤投与中止。 その後も 50%TZ iv 繰り返す。
         7時 血糖 35mg/dL → 50%TZ 1A iv。 朝食2割摂取。
         8時 血糖 140mg/dL。
        10時 血糖 120mg/dL。
        11時30分 血糖 54mg/dL。 昼食2割摂取。
        13時 血糖 60mg/dL → 50%TZ 1A iv。
        15時45分 血糖 41mg/dL → 50%TZ 1A iv。
        16時45分 血糖 83mg/dL。

中止1日目  7時 血糖 86mg/dL。朝食:3割摂取。
        11時30分 268mg/dL。 回復した。

 投与3日前  投与3日目
赤血球数(×10000/μL) 231 212
白血球数(/μL) 10400 9200
血小板数(×104/μL) 20.1 22.5
BUN(mg/dL) 17 12
クレアチニン(mg/dL) 0.9 1.1
血糖(mg/dL) 155(朝食前) 115(朝食前)
尿糖 3+    
HbA1c (%) 5.7    
併用薬:グリベンクラミド、ボグリボース、ジピリダモール、消化性潰瘍用剤、メシル酸ベタヒスチン、センノシド、メロキシカム


60歳代

尿路感染症
[糖尿病、うっ血性心不全、
高コレステロール血症、
高尿酸血症]

400mg
2日間
投与10日前 肉眼的血尿、尿道刺激症状あり。

投与開始日 当院内科受診、CRP 1.39mg/dLと上昇。
        尿路感染症と診断し本剤(4錠分2)を投与する。
        同日 夕食後より内服を開始した。
        (本剤内服前までは朝の空腹時血糖は82-114mg/dLと良好であったが
         食後の血糖は147-232mg/dLとコントロールはやや不良であった。)

投与2日目  5:45 起床時血糖 52mg/dL ジュース、ビスケット、あめを摂取。
         8:30 血糖 70mg/dL ビスケット、あめを摂取。
            朝食も摂取し、本剤2錠内服。
            昼食も摂取。
        14:40 血糖 67mg/dL。
        18:15 血糖 44mg/dL ジュース、ビスケット、あめを摂取。
             夕食をとり、本剤2錠内服。
        18:50 血糖 63mg/dL。
        20:30 血糖 57mg/dL。
        22:45 血糖 70mg/dL。 あめ摂取。
        23:45 血糖 55mg/dL。 あめ摂取。

中止1日目  0:13 血糖 55mg/dL。低血糖状態が続く。
        0:50 当院救急外来受診。血糖 53mg/dL。
            点滴にて維持液 200ml + 50%グルコース(側注)、50%グルコース1A を投与した。
            投与中 110mg/dL まで上昇した。
        2:10頃 帰宅した。帰宅後も低血糖続き、朝、グリベンクラミドは服用しなかった。
       13:55 血糖 107mg/dL と回復し、その後 100-200mg/dL 程度となった。

中止2日目 グリベンクラミドを同量にて再開したが、低血糖は出現せず。


併用薬:グリベンクラミド、ボグリボース、エパルレスタット、アトルバスタチンカルシウム、アロプリノール、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム


50歳代

尿路感染症
[糖尿病、精神分裂病、
高血圧]

400mg
4日間
投与開始日 HbA1c 4.7%と良好。

投与4日目 18:30 夕食摂取(全量)。食事は 1600Kcal/日相当。
        18:50 本剤他、食後薬服用。

中止1日目 0:00 意識障害(JCS:V-300)あり。
        血糖チェック(簡易血糖計)測定外低値。
        ブドウ糖静注にて  意識 JCS:U-10 に回復。 血糖 106mg/dL。
        6:00 血糖チェックで再び測定外低値となり、ブドウ糖静注を行い 血糖 96mg/dL に回復。
        以後ブドウ糖点滴静注にて低血糖発作は認めず。

中止2日目 9:00 血糖 203mg/dL。
中止3日目 9:00 血糖 153mg/dL。
中止4日目 9:00 血糖 162mg/dL と回復

併用薬:グリクラジド、塩酸スルトプリド、塩酸イミダプリル、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、
     ハロペリドール、塩酸トリヘキシフェニジル、フルニトラゼパム、塩酸クロルプロマジン、エチゾラム

80歳代

急性気管支炎

[慢性腎不全、
完全房室ブロック、
〔ペースメーカー植え込み後〕、
僧帽弁閉鎖不全症、
慢性心不全、
心室性期外収縮]

400mg
2日間
投与2日前  発熱、咳を認め、トラネキサム酸3T 3xN(食後)、
         クラリスロマイシン(200)2T 2xMA(朝、夕)を投与された。

投与開始日 発熱が続くため、総合感冒剤2g、塩酸ホミノベン2T、本剤4T 2xMA(朝、夕)を投与された。

投与2日目 11:45 元気なし、昼食とれず
        13:30 坐位保持困難、意識レベル低下(JCS:Uー10)を認めるため、外来受診し入院。
      デキスターにてLowのため 50%TZ40ml 静脈注射、電解質輸液500ml点滴施行し、状態回復
        19:20 血糖 100mg/dL

中止1日目 蛋白アミノ酸製剤1000ml輸液中、 4:15 意識レベル低下(JCS:U-10)を認め、
        デキスターにてLowのため、50%TZ 40ml IV。 蛋白アミノ酸製剤内に 50%TZ 100ml追加。
        意識改善。
        21:00 補食

中止2日目 0:00 より、電解質輸液 500ml に変更後 10:00 で輸液 中止。
中止4日目 回復
1査項目名(単位) 投与
2日目
中止1日目 中止2日目
検査時間   4:15 7:00 11:00 16:00 21:00 0:00 3:00 7:00 16:00 21:00
血糖(mg/dL) 52  LOW 52 76 66 89 158 154 161 158 133
中止
3日目
中止
4日目
中止
6日目
検査時間 0:00 3:00 7:00 11:00 16:00 7:00 7:00
血糖(mg/dL) 149 119 132 164 119 112 83

併用薬:総合感冒剤、塩酸ホミノベン、メチルジゴキシン、フロセミド、スピロノラクトン、リン酸ジソピラミド



【症例紹介 : 高血糖】

60歳代

非定型抗酸菌症

[糖尿病、骨粗鬆症、肝硬変、肺線維症]

400mg
13日間
投与開始日 咳嗽、血痰があり、胸部X線上、右上肺野に空洞を伴う浸潤影を認めたため本剤の投与を開始した。
       それまでの血糖は125〜134mg/dL、HbA1c 7.9〜8.0%であった

投与9日目  血糖値は、本剤投与後よりずっと400mg/dL以上であったとのこと。この日の検査に おいても血糖438mg/dL、HbA1c 8.3%であった。喀痰より抗酸菌を検出し(培養)、    MAC(+)であった。血糖コントロール不良となる。 

投与13日目 自覚症状として著しい口渇を訴えていた。    本剤投与中止、他剤に変更。

中止16日目 高血糖のインスリンによるコントロール、および抗結核剤の投与のため入院。血糖値434mg/dL

 中止21日目 抗結核剤(リファンピシン、塩酸エタンブトール)の投与開始。

 中止26日目 治療により血糖値、117mg/dL(インスリン治療)となる。 
検査項目名(単位) 投与27日前 投与開始日 投与5日目 投与9日目 中止3日目 中止16日目 中止26日目
血糖(mg/dL) 125 200   438 292 434 117
赤血球数(×104μL) 354 361 324 357 385 326 304
白血球数(/μL) 4600 5400 4800 5000 4600 3800 6000
血小板数(×104/μL) 79 8.6 7.4 7 5.9 6.7 6.8
BUN(mg/dL) 19 20   23 18 17 25
   クレアチニン(mg/dL) 1.29 1.36   1.42 1.31 1.14 1.39

  併用薬:グリクラジド、臭化水素酸デキストロメトルファン、アルファカルシドール、スピロノラクトン


●添付文書改訂の御説明●

緊急安全性情報
★「警告」、「禁忌」及び「使用上の注意」を下記の通り改訂致しました。なお、改訂理由は、市販後の高血糖の発現例に基づくものです。
下線部:改訂箇所]
【警告
1. 本剤の投与後に重篤な低血糖、高血糖があらわれることがあるので十分注意すること

2. これらの副作用は、特に糖尿病患者に多く見られていることから、糖尿病患者には本剤の投与を避けること。

3. 投与に際しては糖尿病の既往の有無について十分確認すること

4. 糖尿病でない患者においても重篤な低血糖、高血糖があらわれることがあるので、これらの副作用の発現等について愚者に十分な説明を行うこと。

【禁忌(次の患者には投与しないこと】
1.本剤の成分に対し過敏症の既往のある患者
2.糖尿病の患者
  【低血糖、高血糖があらわれることがある】

3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
 (「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」を参照)
4. 小児等
 (「小児等への投与」を参照)

【使用上の注意】

1.慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)
(1) 腎障害のある患者
[高い血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意2.」の項参照)。]

(2) 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

(3) てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
    [痙攣を起こすことがある。]

(4) 不整脈のある患者
[心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QTC延長が発現したとの報告がある(「副作用」の項参照)。]


2.重要な基本的注意
(1)糖尿病の患者において、重篤な低血糖、高血糖が現れることがあるので、糖尿病の患者ではないことを十分確認すること。

(2)糖尿病でない患者においても重篤な低血糖、高血糖が現れることがあるので、次の点を患者に十分説明すること。

 1)低血糖症状(脱力感、空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)があらわれた場合は、本剤の服用を中止し、砂糖の入ったジュース、キャンディ等を摂取するとともに、速やかに医師の診察を受けること。

 2)高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)が現れた場合は、本剤の服用を中止し、速やかに医師の診察を受けること.


3.副作用

(1)重大な副作用(自発報告又は海外報告のため頻度不明)
 下記の重大な副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
1) 低血糖
2) 高血糖
3) 痙攣
4) ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、浮腫、蕁麻疹等)
5) 心室性頻拍(Torsades de pointes を含む) 、QTC延長
6) 急性腎不全
7) 錯乱、幻覚等の精神症状
8) 肝機能障害、黄疸
9) 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
10) 横紋筋融解症(急激な腎機能悪化を伴う場合がある)
11) アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害
12)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)

(2) 重大な副作用(類薬)(頻度不明)
他のニューキノロン系抗菌剤で下記の重大な副作用が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
1) 過敏性血管炎
2) 間質性肺炎